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最高裁判所第三小法廷 昭和32年(し)14号 決定 1958年5月27日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

所論は原決定が憲法三七条一項の公開の裁判に反するというのであるが、一たん公開公判手続を経た確定判決に対する再審を開始するか否かの手続は、公判そのものではなく憲法にいわゆる「裁判の対審」ではないと解しうべきことは当裁判所の判例の趣旨とするところであるということができる(昭和二三年(つ)二五号同年一一月八日、刑集二巻一二号四九八頁)から違憲の主張は前提を欠き、所論はその余の論旨を含みすべて特別抗告適法の理由に当らない。(再審は確定判決の効果を動かすものであるから、法は厳格な要件の下においてのみその開始を許すのである。刑訴四三五条六号にいう「明らかな証拠」というのは証拠能力もあり、証明力も高度のものを指称すると解すべきであって、被告人の弁護人宛の事件を否認する書信の如きは証拠能力の点からいっても、また証明力の点からいっても到底「明らかな証拠」ということはできない。更に同号の「原判決において認めた罪より軽い罪」というのは当裁判所判例(昭和二八年一〇月一五日第一小法廷決定刑集七巻一〇号一九二一頁)のいうとおり法定刑の軽い犯罪をいうものであって心神耗弱の主張を含まないものである。その点の原判断には違法はない。)

よって刑訴四三四条、四二六条一項に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己)

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